京都の夏の風物詩、港区三田(「みた」です、念のために・・・)界隈の夏便りの後は、日本海側での夏の日のご報告です。岡山から能登半島までの高速道路が全線開通していたということをごく最近になって気づいた晩熟の僕は、ふと石川県の羽咋(はくい)市を訪れてみたくなり、岡山でもうかれこれ20年近く乗っている大型乗用車を駆ってさっそく走ってみました。兵庫県の三田(「さんだ」です、念のために・・・)までは山陽自動車道ですが、そこから舞鶴若狭自動車道で福井県の敦賀まで走り、そこからは北陸自動車道で能登半島を目指します。石川県に入って航空自衛隊小松基地の辺りに差し掛かったときには、美しいダブルレインボー(二重の虹)が幸先よく出迎えてくれました。
金沢の手前で北陸自動車道を降り、後は能登半島の西側海岸沿いを自動車専用道を使って羽咋市まで北上していくのですが、途中には日本で唯一海岸の砂浜を車で疾走することができる「なぎさドライブウェイ」があります。
それを見つけた僕は、とりあえず20年つき合ってきた愛車を砂浜にまでは転がしていったのですが、明らかに海水を含んだ細かい砂を巻き上げながら走ることで車を塩まみれにする愚かな行為に進むことはできませんでした。というわけで、砂浜で愛車の写真を撮ってからすぐに自動車専用道路に戻り、一路目的地である羽咋市を目指したのです。
30分ほど走ったところで、羽咋市の中心部とおぼしきJR羽咋駅にたどり着いたのですが、駅前広場にUFOが2機飾ってあったのにはビックリ。しかも、1機は夜になると広場の照明にもなるような構造で愛嬌があります。
もう1機のUFOは時計塔の下に飾り付けられたいわゆるアダムスキー型のUFOを模したオブジェで、駅から出てきた観光客向けの看板には「UFOのまち羽咋見参」と記されているだけでなく、その脇からは宇宙人「グレイ」の顔が出ているではありませんか! そう、この羽咋市は町興しをUFOと宇宙人、そして人類による宇宙開発などをテーマにしてやっているのです。
そして、羽咋市のそのようなぶっ飛んだ町興しの中心となっているのが、以前は「UFO博物館」と呼ばれていた「コスモアイル羽咋」という展示施設です。建物自体がまるで大型のUFOのように造られていて、その入り口にはその昔イギリスでニュートンが万有引力を発見するときにリンゴが落ちるのを見たリンゴの木の子孫の木が植えられています! UFOが反重力で飛行しているという事実をもじったのでしょうか??
入り口のすぐ脇には、これまたUFOや宇宙人「グレイ」を模したオブジェが飾られていましたが、そのUFOに記された機体番号が「891(はくい)」というのには笑ってしまいます。
そして「コスモアイル羽咋」の中に入ってみると、これまたこれでもかという感じに宇宙人「グレイ」のオンパレード! ここまで徹底すれば実にさわやかな気分になります。完全に脱帽ですね。
まず最初にあったのは、階段の壁に貼られた「段差にご注意下さい」という警告板で、実にいい味を出しています。
トイレに行くと、男子トイレには青色の宇宙人男子のシンボルが貼られています。
むろん、女子トイレには宇宙人女子の赤いイメージが貼られています。
男子トイレにしか入れない僕が見た範囲ですが、小便器にはこれまた宇宙人男子が立って用を足す姿が青色で描かれていました。
様式と和式がある男子トイレの個室部分には、やはり宇宙人男子がそれぞれ様式と和式で気張っている姿が描かれていましたが、特に和式のいわゆる「ウンチスタイル」になった宇宙人「グレイ」はなかなか愛嬌がありますね。
これだけでは、ありません。徹底的に宇宙人「グレイ」をモチーフにしているのですから、自販機コーナーにすらシンボルが描かれていました。
さらには、ロビー脇に置かれていた今では珍しくなった公衆電話の脇には、やはり受話器をとおして会話する宇宙人「グレイ」の顔のイメージが描かれた立て看板があります。
このように「コスモアイル羽咋」はUFOと宇宙人で町興しをしている羽咋市のシンボル的な施設となっていて、階段の上がりぶちの広い壁面には地球と銀河を望む月面にある宇宙人の遺跡が描かれていました。これを見たときにはすぐに名画『2001年宇宙の旅』を思い出したのですが、絵の構図にはイースター島にあるモアイ像やイギリスのストーンヘンジのようなものもあり、まるで我々人類の文明が宇宙人によってもたらされたとでも言いたげです。
そして、ロビーにある丸い柱に貼られた迫力あるポスターを見ると、石川県羽咋市に宇宙人が出現したという非常事態宣言を宇宙人「グレイ」が記者会見で発表しているではありませんか!
そのポスターの下の端には、ごくごく小さい文字で「コスモアイル羽咋」のことを「本物の宇宙船と、宇宙人に会える」宇宙科学博物館と記されていました。「え、本物の宇宙船と宇宙人?!」
本当に本物の宇宙船と宇宙人に会えるのか信じられなかった保江邦夫・・・事の顛末は次回・・・乞う御期待