2月19日に横浜に行ってきました。美人校長先生の存在が光る「ナチュラルハンドアカデミーHOLOS」で本年2回目となる「宇宙学講座」での講義があったからです。今回はいつもの会場ではなく、地下鉄「日本大通り駅」の真上に建てられた横浜市の公共施設の会議室をお借りした会場で、建物自体は近代的な高層ビルなのですが4階までの角部分は昔その場所にあった古い西洋建築のままになっています。いわば、JR東京駅丸の内南口向かいに新築された東京中央郵便局の建物と同じフィロソフィーで設計されたのでしょう。
斜め向かいの神奈川県庁の歴史を感じさせる庁舎ともマッチした雰囲気で、地下鉄から地上に出てきたときの第一印象は古くから外国人にも開放されてきた港街のたたずまいが現代に活かされているというものでした。
会場のその1階部分で空を見上げたとき、時代を感じさせる4階部分までの古いビルの丸く穏やかな角が美しく輝いていました。そして、よく見ると1階部分には大きなガラス張りの重厚なドアがあって、上部には「Alte Liebe」というドイツ語が記されていたのです。「アルテリーベ、なるほど『昔の恋人』か、いい名前をつけたもんだなあ」と何となくちょっといい気分になれました。
その大きなガラス張りのドアは閉まったままでしたが、覗いてみると明らかにレストランのようです。ビルの横に廻ってみれば、今度は道路の並木を見事に映し出す大きなガラス窓がありました。
その窓のひさしにはやはりドイツ語で「Kaffeehaus und Musikrestaurant」と記されていることから、どうやらこの店は「昔の恋人」というお洒落な名前がつけられたカフェ・レストランで、ひょっとするとピアノか室内管弦楽の生演奏が売りなのかもしれません。パリの小粋な店を真似てベルリンに作られたフランス料理を出す馴染みの店を思い出して、郷里に残してきたメッツェンに思いを馳せることができるよう、遠く極東の横浜港にまで流れてきたドイツ人向けに長年営業してきたお店なのかもしれないな、などと想像を膨らませ、ドイツ人の船乗りになった気分の僕は、いつになく楽しい気分で会場のビルに入っていき、会議室がある7階までエレベーターに乗ることにしました。
1階部分のエレベーターホールで美人校長先生のお出迎えを受けることができ、運よく他に乗り込んでくる人もいなかったので、わずか数秒間とはいえ2人きりになれるぞと「Alte Liebe」の文字を胸に気分よくエレベーターに乗り込んでいったのです。
ところが、やってきたエレベーターのドアが開くと、そこには軽自動車が1台丸ごと入るかもしれないというほど広い空間がポッカリ姿を見せたのです。いったい、こんな大きなエレベーターには何十人乗れるだろうか、などと考えながら乗り込んだのですが、7階に到着する10秒足らずの2人きりの世界は、「Alte Liebe」で舞い上がっている僕の思惑を大きく裏切って美人校長先生との距離は縮まるどころか、写真のように対角線に沿って大きく開いてしまっていたのでした。
とほほほ・・・。
保江 邦夫