少し遡りますが、今年の春のある一日のこと。そういえばまだ花見にも出かけていないうちに都内全域が満開を過ぎてしまい、今年最後のチャンスとばかりに花見を兼ねて散歩に出かけてみました。
まずはご近所のシシリア料理のお店の前で毎年花開く珍しい紅白の桜ですが、これもまた満開となっていました。歩道を歩く人の中にも立ち止まってスマホのカメラを向ける姿がチラホラ・・・。
そこから2分ほど古い白金商店街を歩いて脇道に入ってみると・・・、あれあれ・・・これは・・・???? そう、任天堂のゲームキャラのマリオの着ぐるみで都内中心部を連ねて走る外人観光客でお馴染みの、電飾が目立つあのゴーカート集団!!
数えてみれば12台ほどが、すぐご近所の駐車場の一角に隠されていたではありませんか! なるほど、外人相手のゴーカート都心ツアーはこの白金に本拠地があったのですね。面白い!!
実は、この日の4月1日に散歩がてら歩く羽目になったのは、麻布にある東京都港区の都税事務所に行って都税を納入するためだったのです。白金からは片道30分ほどの距離にあるため、往復で一時間ほどの散歩になるわけです。途中に目を引くのは、このようにビルの前に咲いたきれいな桜の街路樹。
それだけでは、ありません。麻布十番から六本木にかけては夜になればクラブやバーが乱立する場所柄、昼間に歩いてもこのように愉快な看板のオンパレード。「キッチン&バー馬尻」というバーの外壁に見つけたのは、なかなかよくできた「馬のお尻」でした! 傑作な看板十傑に入るかもしれませんね。
そのまま歩道を歩いていくと、今度は消火栓の脇に小粋なカフェのテラス席があるではありませんか! 単独では殺風景にしかならない消火栓であっても、テラス席に組み込まれた瞬間にお洒落なオブジェに早変わり! 一本、取られましたね。
さらに歩いていくと、今度はいわゆる公衆便所に出くわしました。白金と麻布に挟まれた界隈は都内中心部の他の場所に比べて何故か公衆便所の数が多く、ときどき乗せていただくタクシーの運転手さん達も口を揃えてこの界隈を走るときには必ずトイレを利用すると教えてくれます。白金では空車のタクシーを見つけやすいのですが、その理由は運転手さんがトイレのために立ち寄ることが多いことにあるようです。
そして、ちょっと見に違和感の漂う「港区立###公衆便所」という看板を見ながらもう少し歩いていくと、さすがは麻布・六本木・白金界隈、高級スポーツカーのブランド「フェラーリ」のショールームがありました。いつもは首都高を愛車ミニクーパーで走りながら2階のショールームに飾られている4台を眺めるのですが、その下の1階部分のショールームにはF1で優勝したフェラーリのマシンが威風堂々と飾られています!
歩道を歩いている人達は多分車を買う気持ちのない方々だからということで、非売品のF1マシンでフェラーリの印象を高める作戦というわけでしょうか。実際に都内で車を購入する可能性のある人達は高架の首都高を車で走っているドライバーということで、首都高から見ることができる2階のショールームにはちゃんと販売しているフェラーリのスポーツカーを展示しているわけですね。うーん、なるほど。
賢いやり方ですが、かくいう僕もこれまでは首都高からしかこのフェラーリのショールームを見たことがなかったので、その1階部分にF1マシンが惜しげもなく飾られていたとは知りませんでした。その意味ではとても新鮮で、しばらく釘付けになってしまいました。
しかし、東京都内中心部というのは、実に面白い景色に溢れたところです。こうして1時間ほど散歩するだけでも、なかなかの場面に出くわしてしまいます。むろん、歩くのではなく、車で走り回るならもっと広範囲に跨がって面白いシャッターチャンスに恵まれること請け合いです。
例えば愛車ミニクーパーを駆って都心を流してみれば・・・、そう最近はこのような白タク・・・白ナンバープレートのタクシーにも出くわすことがよくあります。
白タクは違法ですが、車体を見ればトヨタのジャパンタクシーそのもの・・・ということはちゃんとしたタクシー会社の車のはずです。
で、赤信号で止まったときに注意してナンバープレートを眺めてみれば・・・、そう、ご覧のように東京オリンピック記念プレートという白っぽいデザインのナンバープレートが取り付けられていました。
この東京オリンピック記念プレートは自家用も業務用もどちらも同じ白っぽいデザインなので、タクシーのような業務用プレートも白タク的に見えてしまうのですが、実はプレートの枠が緑に塗られている点が自家用との違いになっているそうです。
この他、都内中心部を走っていると、このようにアメリカナンバーのままの車に出くわすことも少なくはありません。特に白金と麻布の境には米軍関係者のみが宿泊できる治外法権のホテル・ニュー山王があるために、そこに出入りする米軍車両にはこんなナンバープレートが光っています。
また、平日は高速道路か駐車場かわからないと揶揄される首都高池袋線も、日曜日の夕方ともなればご覧のようにガラ空きの状態になり、スカイツリーを眺めるゆとりも出てきます。
その他、用水路の多い都内中心部を走っていると、ふと緊急車両がなかなか風情のある景色を作ってくれている場面にも出くわします。次の写真は江戸川用水にかかった小さな橋の上に待機中の東京消防庁所属の消防車を移したものですが、なかなか非日常的ないい味を醸し出していませんか?
非日常的な場面といえば、その日の夜のこと。近所のトンカツ屋さんで夕食を取っていたところ、警視庁のパトカーがやってきてヘッドライトや警告灯を点けたまま、2人のお巡りさんが近くのマンションに飛び込んでいきました。
これを逃したなら、二度とこのような状態のパトカーを写真に収めることはできないと考えた僕は、あきれる野次馬を尻目に携帯電話をカメラモードにして堂々とシャッターを切ったのです。
そのときの僕の姿はまさに「馬尻」の看板の馬の後ろ足のように映っていたのかもしれませんね(野次馬を尻目・・・にかけた洒落ですが・・・)。
その日の夜、自分の部屋に戻って窓を開けて見ると・・・、龍穴の駐車場の上には満月が輝いていました。遠くに見えるプラチナタワーが白銀龍のように輝く白銀の玉を追って天高く舞い昇っていくようにも見えたのです。
東京っていいなー、としみじみ思うこの頃の保江邦夫