ここは兵庫県の山奥・・・といっても、丹波空港からはかなり離れた山奥のはずなのに、道路の周囲が急に開けたと思ったら目の前に突然・・・初の国産ジェット支援戦闘機F−1の機体が現れたのです!!
これは、珍しい!!!
F−1は国産初のジェット戦闘機として設計製作されたにもかかわらず、運用が終了した後に原型を留める形で保存されている機体はわずかに2機のみと聞いていました。それが、航空自衛隊の基地でもなく、また飛行場でもない兵庫県の山奥に忽然とその姿を現したのですから、これが驚かずにいられましょうか!!!
車を駐めて近づいてみれば、そこにはF−1以外にも何機かの自衛隊機が展示されていることがわかりました。とはいえ、やはり目を引くのは珍しいF−1の機体です。
特に下反角の大きな高翼機という、戦闘機として希有な設計はごらんのように極めて美しいシルエットを醸し出していますね。このチャンスを逃したら二度とF−1に搭乗することはできないと閃いた僕は、図々しいことこの上ないとはわかっていたのですが、展示場の係の方に頭を下げてコックピットのキャノピーを開けていただくことにしました。
ということで、キャノピーを全開にしたF−1の雄姿も、前後左右から眺めておきましょう。まずは前から、いえいえ、12時の方向からです。
次に2時の方向からの雄姿です。
そして、次は7時の方向から見た珍しい姿です。主翼だけでなく水平尾翼もかなりの下反角となっていることが見て取れますね。尾翼とジェットエンジンアフターバーナーの排気口の部分のみを見ていると、F−4ファントムⅡに似た形状になっていることもわかります。
さらに調子に乗った僕は、ちょいと格好つけてF−1にもたれかかって、はいポーズ。
それだけでは、ありません。さらにご無理をお願いした僕は、ついにF−1のコックピットに座ってしまうのです。見て下さい、この得意顔!!
で、そのコックピットから見下ろした光景は、これまた見事ですね。
そして、コックピットの中を見やると、デジタル液晶画面表示全盛の最新鋭ジェット戦闘機とは違い、味のあるアナログ計器のオンパレード!
右下には通信系の制御装置が並び、下方視界の良さも高翼機ならではのようです。
左側にはスロットルなどのエンジン制御システムが並んでいますが、これまたアナログの極致。操縦桿の前にあるレーダー画面もまた、古きよき時代のブラウン管製です。
そして、これが戦闘機の真骨頂というか、緊急脱出用の射出座席を起動するノブです。現在運用中の最新鋭戦闘機ではノブは後頭部ヘッドレストの前に取り付けられているようですが、確かに逆Gがかかる墜落状況では両手を上にするほうが理にかなっているのでしょうか。
確かに、このF−1の射出座席のヘッドレスト部分は極めてシンプルな構造になっています。そのため、F−1の後方視認性は非常に高いものとなっていました。これもまた、戦時中の傑作機ゼロ戦の血が流れているのでしょうか。
「いやー、戦闘機って、いいもんですねー」という台詞が似合うようになりたい保江邦夫