雪の京都-星辰館〜保江邦夫オフィシャルサイト

雪の京都

2019.05.09

 年明け早々に京都に行きました。御所の西向かいにある会場で講演を依頼されたからです。偶然にも天皇皇后両陛下の御上洛の日に重なったため、京都の街はいつにも増して重厚な空気が漂っていました。午後2時からの講演が始まってまもなく、窓の外に見えていた御所が雪煙に隠れてしまう天候となり、まさに天の采配かと思えた僕の口調も興奮気味になっていきます。

 冬に京都に行くチャンスがあるときには、不思議にも雪の天候となることが多いのですが、このときも例外ではありませんでした。夜になっても止まない雪でしたが、積もるほどの降り方ではなかったため、夕食は親しい仲間数名で御所の隣にある旧知の店に行きました。京町屋を上手く利用したフレンチの店なのですが、店の奥にある裏庭に雪が舞うシーンはやはり風情がありますね。

 さて、絶品のフレンチを美味しくいただいた後に店を出てみると・・・、何と雪はかなり強くなっていて、寺町今出川の交差点もご覧のように雪化粧です。歩道を歩いても滑る状況で、車はほとんど走ってはいません。

 四条烏丸の駅まで行かなくてはならない仲間が2人いたため、タクシーをつかまえる必要があります。今出川通りではどうしようもないため、隣の河原町今出川まで、転ばないよう恐る恐る歩いていきました。

 河原町通りは車の交通量も多かったため、車道の雪はほとんど溶けていて空のタクシーも無事に拾うことができました。

 後は車窓に移りゆく夜の京都の雪景色を楽しみながら四条烏丸までひとっ走り。

 四条烏丸の駅で2人を降ろし、再び御所の西向かいにある宿舎までタクシーを利用できたため、雪と寒さににはまったく困ることのない外出に恵まれたのです。我ながら悪運が強いですね。

 翌朝も雪ならタクシーで金閣寺まで行って、雪の金閣寺の絶景を写真に収めようと考えていたのですが・・・、目が覚めてみれば屋根の上や歩道の雪はほとんど溶けてしまっていました。これでは大人しく東京に戻るしかないということで、宿舎を出て烏丸通りを丸太町に向かって歩いていきます。

 途中、立派な古い門があるお屋敷跡があり、ふと看板を見てみると・・・。

 白金の部屋の近くにある「有栖川記念公園」でおなじみになっていた「有栖川宮」という文字が目に飛び込んできました。なるほど、旧皇族の有栖川宮家の京都での御屋敷跡がここというわけ。今は平安女学院大学の所有となって、保存されているようでした。確かに、その南隣には平安女学院の校舎があり、その運営母体となっている米国聖公会の聖アグネス教会の美しい明治期の建築も光っています。

 教会の南隣には菅原道真公が生まれたときに産湯を使った場所に建立された菅原神社があり、東西の学問の拠点が見事に融合しているかのような雰囲気を醸し出しています。

 拝殿の前に立つと、右前方に聖公会の独特な十字架を見ることができ、神道とキリスト教の間の不思議な因縁が伝わってくるかのようです。

 この神社の中には、全国でも珍しい「癌封じ」に御利益のある御社も奉られていて、参拝客が途切れることはありません。場所も御所のすぐ向かいということもあり、往時の御所周辺の御屋敷古地図が掲示されていました。

 その中に白川伯王家の屋敷を見つけたときは、一応伯家神道を継承してしまった身として大変嬉しく、しかもそれが御学問所を併設した形となっていたことまでもが示されていたので、つい先代の巫女様の霊に頭を垂れていました。

御所の近くでいつも元気になる保江邦夫

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