商売道具が壊れてしまった | 星辰館〜保江邦夫オフィシャルサイト

商売道具が壊れてしまった-星辰館〜保江邦夫オフィシャルサイト

商売道具が壊れてしまった

2018.05.25

 これまで日本語の本の原稿はキング事務が製造販売してきた「ポメラ」という携帯入力装置を使って、主に新幹線の車中で考えながら打ち込んできました。これまで使っていたのは二代目で、初代のポメラに比べてソフトウェアの能力もハードウェアの能力もずいぶんと高くなっていて、ずいぶんと助かってきました。ただ、どういうわけか僕が購入した二代目のポメラはキーパッドの故障が多く、購入後すぐに修理に出すはめになったのですが、その後もキーの裏の電極接触が不安定で入力に支障をきたすことも少なくありませんでした。

 特に困ったのは電源スイッチがだんだんと機能しなくなり、ポメラの電源を入れるのに何分間も電源スイッチを繰り返し押し続けなくてはならないことでした。それでも普通のパソコンよりはずっと使いやすかったために、そのような不便があってもポメラを手放す気にはなれませんでした。ポメラをご存じない方のために補足しますと、何故ならポメラはこの写真のように片手の掌サイズで、軽く、単四乾電池二本でサクサクと動作する上に、日本語変換はNECのPC98の頃から慣れ親しんできた日本語ワープロソフト「一太郎」のAtokなのでまったくストレスがないのです。

 この掌サイズを開くと次の写真のように液晶画面が見えるようになりますが、これは反射型白黒TFT液晶のために通常のパソコンの液晶画面のように画面の背後が発光することはありません。ですから長時間見ていても眼が疲れることはありません。普通の紙のように画面に当たる室内光の反射で液晶の文字を見ることができるからです。

 さらに掌サイズの本体をもう一度開くと、ご覧のように両手でスムースに打ち込める大きさの小型キーボードが姿を現します。

 この状態で右上の電源キーを押せば、本来ならば1秒もかからないうちに初期画面に打ち込み途中の文章が出てくるはずです。ところが、購入してまだ間もない二代目ポメラはもうどうやっても電源が入らないようになってしまいました。つまり、僕の商売道具が壊れてしまったというわけです。これでは新幹線の中で原稿を書き上げていくことがまったくできなくなって、本当に仕事ができなくなってしまいます。トホホ・・・。

 もちろん三代目のポメラを新たに買ってしまえばよいのですが、現在販売されている三代目のポメラは液晶画面が反射型ではなくバックライトがあるものになってしまい、さらには折りたたんでも掌サイズにはならない大きなものになってしまったのです。これでは画面を長時間見つめる作業で眼が疲れてしまいますし、持ち運びも不便です。できれば二代目のポメラを手に入れたいのですが、キング事務ではもう製造中止になっていたのです。

 うーむ! 困り果てた僕がネットで検索していたとき、どうやっても新品の二代目ポメラは見つからなかったのですが、な、な、なんと、二代目ポメラが売り出されていた頃に併せて販売された初代目のポメラが新品で見つかったのです。それはガンダムとタイアップして外見とソフトウェアにシャア・アズナブル将軍の愛機の特徴を取り入れたものでした。

 僕自身は別にガンダムファンというわけではなかったのですが、背に腹は代えられません。ともかく初代ポメラの変形でも反射型TFT液晶のポメラであることに間違いはないのですから。こうして意外にも定価よりずいぶんと安く買うことができた今では型落ちのガンダムポメラ、いや、シャアポメラが白金に届きました。シャア・アズナブル将軍の愛機の絵が迫力のある美しいデザインの箱はポリエチレンコーティングされたままの新品状態でした。

 さっそくに箱から取り出したシャア・ポメラは愛機のような塗装がなされ、確かに昔使っていた初代ポメラよりもずっと魅力的なものになっています。ガンダムは見てこなかった僕でも、これはすごいと思えました。

 開いてみると、二代目の画面よりは小さい初代ポメラの反射型TFT液晶画面が現れるだけでなく、次に本体を開いてキーボードを取り出すときの注意書きにはシャア・アズナブル将軍の姿が描かれています。ガンダムファンでない僕でも、これにはうなってしまいました。こんな細かいところにまで、ガンダムタイアップの結果が出ていたのですから。設計した方はよほどのガンダムファン、しかもシャアファンだったに違いありません。

 シャア・アズナブル将軍の注意を守りながら本体を再度開いてみると、そこには両手の掌サイズのキーボードが現れます。しかも、そのデザインや色合いは見事にシャア将軍の愛機の雰囲気が醸し出されているではありませんか。

 こうして、短期間のうちに新しい反射型液晶のポメラを手に入れることができたぼくは、こうして再びこのミニメッセージの原稿や次作書籍の原稿を新幹線の中で書き上げていくことができるようになったのです。

 え、このポメラが壊れたらどうするのか、ですって? むろん、そのときに三度反射型TFT液晶のポメラが手に入ればよいのですが、もし手に入らなければそのときは「筆を折った文士」と同じく「ポメラを壊した文士」として一切の文筆活動を止めるときなのかもしれません・・・。

 

保江邦夫

お問合わせはお気軽に
お問い合わせ
KUNIO YASUE All Rights Reseved 2017.Designed by R-design