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カメラ小僧

2018.05.18

 先回は「岡山のことなど・・・その一」と題して、岡山の家を片付けに帰ったときに気づいたことなどをお伝えいたしました。今回はその番外編をお届けします。

 その日に出てきた人生の廃棄物を夜になってから焼却炉で燃やし、着ていた革ジャンや綿セーターだけでなく自分の身体や髪の毛までもが煙で燻された燻製状態になったためにお風呂に入って丸洗いせざるを得なくなり、ドライヤーが嫌いな僕は髪が自然に乾くまで二時間ほど起きていなくてはならなくなりました。そこで、昼間の片付けで出てきていた古いカメラバッグの中にあった、フィルム時代に愛用していた懐かしの名機を取り出して動作確認をしてみようと思いつきます。

 まず最初に取り出したのは、ドイツの由緒ある光学機器メーカー「Voigtlaender(フォクトレンダー)社」の傑作「VITO B(ヴィトー べー)」。もうかれこれ十年以上も使っていませんでしたが、そこは電気系統がまったくない純粋機械式光学フィルムカメラのこと、何の問題もなく動作しました。ネジ巻き式のセルフタイマーが戻っていく音も実にレトロな響きがあって、時計と同じくカメラもまた機械仕掛けにあこがれることができる男のロマンといったところでしょうか。

 次に出てきたカメラは、国産の逸品「キャノン7」。これは今では珍しい「セレン測光器」が内蔵され被写体の明るさを自動的に測ってくれるため、絞りやシャッター速度の調整が目盛を読み取るだけでできるよう簡単化し、誰でも失敗なく写真撮影ができるようにしたフィルム光学式カメラです。この「セレン測光器」は現代のデジカメに使われているような「シリコン測光器」と違ってバッテリーによる電気供給を必要としません。ですから、今回のように十年ぶりに取り出してみても、「セレン測光器」はまったく問題なく動作します。

 しかも、この「キャノン7」は光学距離計も内臓していて、その上に望遠や広角などの交換レンズを装着したときのピント合わせもファインダーの中の照準設定だけで簡単にできてしまいます。おそらく機械式光学フィルムカメラの国産最高傑作ではないでしょうか?

 そして、最後に出てきたのが京セラのいわく付き名機「T Zoom」でした。これが何故「いわく付き」なのかというと、京セラが超高級コンパクトカメラを製造販売することになったとき、ドイツの世界一の光学機器メーカーであるカール・ツァイス社から毎年一定量を仕入れるという契約で、高性能で知られる光学レンズ「テッサー」と「ヴァリオテッサー」を供給してもらえることになったのです。ところが京セラの思惑どおりには市場は動かず、その超高級コンパクトカメラはあまり売れず、工場にはドイツから定期的に一定量が送られてくる高性能レンズが溜まっていく一方でした。

 そこで、その高性能レンズの在庫が消えてくれるようにするため、京セラは安価なコンパクトカメラの「T Proof」や「T Zoom」に高価な高性能レンズ「テッサー」と「ヴァリオテッサー」を使ってしまったのです。しかも、値段は安価なコンパクトカメラの値段のままで・・・。

 こうして、カール・ツァイス社が世界に誇る高性能光学レンズを装備した、世界で最も安いカメラが誕生しました。というわけで、アメリカでのエリア51やUFO墜落地点の探検に持って行ったのが、取り扱いが安いコンパクトカメラでありながら世界一の光学系によって素晴らしい映像を残してくれる「T PROOF」だったのです。レンズは「テッサー」でズーム機能はありませんでしたが、それでも本当に役に立ってくれました。

 この「T PROOF」には、通常の後ろから覗くファインダーに加えてちょっと面白い第二ファインダーが標準装備されていました。それは潜望鏡のようにも使える二眼レフのようなのぞき込みファインダーで、次の写真ではレンズの前方にある目覚まし時計の盤面が覗き込みファインダーに見事に映っているのがわかります。

 その後、たまたま正月に仙台に滞在したとき、仙台名物(?)の正月大売り出しのときに街を歩いていて、小さなカメラ屋さんの店頭に(定価でも安い)「T Zoom」が一台だけ9,800円という破格の安値で出ているのを見つけ、その場で衝動買いしてしまいます。

 これは沈胴式の光学系に「ヴァリオテッサー」のズームレンズが備わり、小型ながら遠方の景色を見事に引き寄せてくれます。

 背面には装填しているフィルムの種類が常に確認できる細長い小窓が開けられていて、僕としては光学式フィルムカメラの中の最高傑作の一つではないかと考えていました。おまけに、この度十年ぶりに取り出してスイッチを入れてみたところ、驚くべきことになんと十年前に新品を入れてあったままになっていたバッテリーがほとんど放電することなく電圧を保っていたようで、フル充電の表示を出したと思ったらズームからピント自動合わせまでサクサクと動いてくれたのです。

 これなら、今後も常にこの「T Zoom」を持ち歩いて、不意にUFOが上空に出現したときにすぐにフィルムに証拠を残せるようにしたいと思い始めました。今のデジカメやスマホで撮影した電子データでは、最新のデジタル映像編集ソフトで作り上げた偽の写真データだと誤解されますので、フィルムカメラで撮影しておくのが得策だからです。

 いやー、次回のUFO遭遇が待ち遠しい!

 保江邦夫

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