T−1に会いました-星辰館〜保江邦夫オフィシャルサイト

T−1に会いました

2019.06.06

 先回は国産初のジェット戦闘機F−1の展示会場に乱入した事件の顛末をお伝えしました。実は、そこにはF−1以外にも展示されていた自衛隊機があったのですが、岡山の我が家の前庭に密かに米軍の戦闘攻撃機スカイホークと英軍の垂直離着陸戦闘攻撃機ハリアーを置いている僕としては、まずはF−1に触手を伸ばすのが礼儀というもの。というわけで、岡山では珍しい雪を被ったハリアーとスカイホークをご披露いたしましょう

 で、話を兵庫県の山奥にあった自衛隊機展示場に戻しますと・・・、F−1以外で目を引いたのはこれまた我が国で初の国産ジェット練習機T−1Bの鮮やかな機体でした。

 前回はF−1の後部がジェット戦闘機F−4ファントムⅡの後部と似ていると申し上げましたが、今回のT−1Bの機体全体はやはりジェット戦闘機F−86セイバーのシルエットにそっくりです。まあ、F−4もF−86も米軍の傑作機に列挙されているくらいですから、空力特性を追求していくと自ずと同じ形になっていくのかもしれませんね。

 ちなみに、雪を被ったハリアーとスカイホークの間にあるミサイルのような銀色の物体はその傑作機F−86セイバーの翼下に取り付ける燃料タンクで、ヤフオクにて180円で落札したものです。

 展示場の係の方はご親切にもF−1だけでなくT−1Bのコックピットのキャノピーも全開にして下さったため、好奇心全開の僕は当然ながらご覧のようにコックピットに乗り込んでいきます。

 戦闘機F−1とは違って、前後(タンデム)に操縦席があり、教官は後ろの座席に乗って操縦指導を行います。

 操縦席に座ってみて驚いたのは、自動車でいえばルームミラーにあたる鏡がキャノピーの内側に取り付けられていたことです。しかも、そこに映り込んだ機体後部の景色は、極めて明瞭ではっきりとしていました。これなら、後ろから追尾してくる敵機の機影を見つけることも容易です。

 コックピット前面の計器類も当然ながらアナログ全盛期の雰囲気ですね。

 操縦桿の前を見ても、F−1のようなレーダー画面がないことから、T−1Bは目視及び計器飛行のみで練習飛行をこなしていたのでしょう。

 確かにアナログ計器の数は少なく、軽飛行機のセスナと比べることができる程度ですね。

 教官が乗り込む後部座席はというと、前方座席よりもシンプルな造りになっているのが意外でした。

 当然といえば当然でしょうが、この国産初のジェット練習機T−1Bはジェット戦闘機のパイロットを訓練するためのもので、それ意外のレシプロエンジンの航空機パイロットの操縦訓練にはちゃんとレシプロエンジンの練習機も用意されていたわけです。テキサンのような単発タンデム座席のものやセスナのような単発並列座席に始まり、双発並列座席のものに進み、その後は実機で訓練を行うというのが常套コース。

 そんな双発並列座席のレシプロ機も展示されていましたが、これは陸上自衛隊の連絡偵察機LR−1です。LR−1という形式名称は陸自の中でのもので、実はこの機体もまた戦後日本で初めて国産設計製造されたビジネス飛行機MU−2Bそのものです。従って、MU−2Bの低高度高速性や悪天候下での安定性など高い性能をそのまま偵察機や連絡機として活かすことになったのが、LR−1の導入につながったとのこと。

 これまたご親切にも搭乗口を開けて下さったために、操縦席にも座ることができました。

 セスナ同様に民間機からの転用ということで並列座席のそれぞれに操縦ハンドルがありますから、実機訓練にも最適な造りだったのですね。

 そして、このLR−1の後ろに鎮座ましますのが、僕の好きなハリウッド映画『世界侵略:ロサンゼルス決戦』や『ホースソルジャー』にも搭乗する大型タンデム輸送ヘリのKV−107A。通にはバートルという社名のみで呼ばれる、ロングランのタンデムヘリと記したほうが喜ばれるかも。大型ヘリコプターとしては唯一のタンデムローター型のヘリで、エンジンが空中で二機とも停止したとしてもそのまま安全に緊急着陸させることができるというすぐれ業を度々発揮したことで知れわたっています。この点は、バートルに代わる垂直離着陸兵員輸送機のオスプレイとは正反対ですね。未だに重要な作戦にはバートルが使われていることからも、その信頼性と安全性が半端ではないことがわかります。

 ということで、バートルの搭乗口も開けていただいて乗り込んでみると・・・。

 これまた実機操縦訓練のためなのか、あるいはそもそも並列副座の航空機の常なのか、左右の座席それぞれに操縦桿があり、しかも兵装の発射ボタンまでついていますね。確かに機体の下にバルカン砲などの重機関砲をポッドで取り付けることも可能ですから、必要といえば必要なのでしょうね・・・。

 で、操縦席からキャノピーの外を見ると、F−1やLR−1の後ろ姿のずっと手前にバートルのバックミラーがあったのですが、これがまたT−1Bのキャノピーの内側にあったルームミラーと同じで、後方視界が極めて良好に確保されていることがわかります。大型トラックやトレーラーに取り付けられているバックミラー程度の大きさなのですが、映り具合ははるかに良好ですね。

 そして、展示場を後にして当初の目的地へと急ごうと思ったとき、最後に目に留まったのはベトナム戦争で多用された傑作多用途ヘリのUH−1H。これもまた製造メーカーの社名「ベル」だけで呼ばれることの多い、ハリウッド映画にも頻繁に搭乗する名機です。

 前から見ると、背後に並ぶF−1やT−1Bの精悍な面構えにも決して引けを取らない育ちの良さがわかりますね。

 こうして、ひょんなことから見つけてしまった兵庫県の自衛隊機展示場を後にした僕が思い出したのは、やはり面白い御縁で見せていただけることになったアメリカ海軍の戦闘攻撃機A−4スカイホークを展示している、徳島県にある日本で唯一のアメリカ国防総省認定の航空博物館のことでした。

 本当に、好きな人は好きなんですねーーーー。

オタクの道をまっしぐらの保江邦夫

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